60歳からの知恵と体験の交流誌「さすが&されど」。シニアが主役の投稿誌です。http://www.hongopub.com/

2010/4/14

〈交流ひろば〉はいかい老人  シニア


〈交流ひろば〉はいかい老人/渡辺貢一

 今年の1月半ばのこと、町内のAさんが、家の前を一見、はいかい風≠ノとぼとぼ、ふらふら≠ニ歩いている老婦人を目撃。Aさんは家の前の雪はねに精を出していたが、20軒ほどの街区を一回りしたのか、例の老婦人が別の方角からたどたどしい¢ォ取りで戻ってきた。「どうも、様子がおかしい」と感じたAさんは「お散歩ですか?」と声をかけてみたが応答はない。よく見ると表情はこわばり、目の焦点もさだかでない。これは(はいかい老人)に間違いないと判断し、「お宅にお帰りなら、ご一緒しますよ」と声をかけ、寄り添って歩きはじめた。
 ときどき「お宅はどこなの?」と聞いても、返事はないまま歩いて行く。Aさんは「これは、私ひとりではどうにもならない」と不安を感じはじめたが、あいにく通行人に恵まれず。そのうち、町内会の会長である拙宅の前にきたので、ドアホンを押したが、私も家内も留守で不通。そのうち、老婦人は急に道を右折した。「お宅はここを曲るの?」と聞いても返事はないまま。右折した通路の突き当たりは、認知症の患者が集団生活しているグループホームだった。
 老婦人はグループホームに向って進んで行く。Aさんは、てっきりこのグループホームの住人と思い込んでしまった。ドアホンを押すと、ケアワーカーがキーロックを解いて「どなたですか?」。老婦人は押し退けるように一気に室内に入っていった。Aさんは「ほっ」としてケアワーカーの戸惑いに気もつかず、「はいかいしていたのでお連れしました」と伝えて、雪はねの現場に急いで戻った。
 一方、グループホームでは、ケアワーカーさんはてんやわんやだったようだ。専門家だから扱いは慣れたものだが、「この人、どこのだれかしら?」。
 町内会とグループホームは2か月に1回のぺースで「運営推進会議」を持っているから、複数の役員とは旧知の間柄。電話で呼ばれて3名の役員がグループホームに参集する羽目になった。でも、どの役員も、その老婦人がどこのどなたか全くわからない。みんなが右往左往するうちに、グループホームから50メートルほど離れたところにある、3階建てのアパートの住人と判明して一件落着した。
 老婦人は80歳代前半で、80歳代後半の配偶者と同居しており、しかも、50歳代で独身の息子さんとの3人家族。老婦人は配偶者が居眠りしているうちに外出したらしい。普段は近隣とのお付き合いもなく、外出もあまり多くないご夫婦だったようだ。そして、はいかいは初めての経験だったと聞いた。
 町内会では一昨年から町内か、それに近い所に子息兄弟姉妹がいないという前提で、
 @70歳を超えた独居老人
 A夫婦とも70歳を超えた2人世帯
 B70歳未満でも病弱な独身者と2人世帯
をリストアップし、「見守り活動」の準備を始めている。が、この世帯は息子さんが同居していたので、リストアップの対象から洩れていた。
 その上、想像していた以上に、認知症を含めて問題が潜在していることを知らされたが、一方では、「見守り活動」を拒絶する人も少なくないというのが現実である。町内会が背負う老人(弱者)対策の大切さ、力量をはるかに上回る責任。住民自治を考えると、身がすくんでしまう。
 安全な町を作る、住みよい町を作る、清潔な町を作る、仲の良い町を作るなどなど、町内会のこうした役割は、どうやって果していけばよいのだろうか。
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