「島ぁ〜コーラ買ってこいや!」「島ぁ〜XXしとけや〜」
何かにつけて1年の島を可愛がっていた。
土建屋の一人息子、ヤンチャだけど人情味厚い後輩。
可愛がりすぎて夏のグランドでホースの水を下着が濡れるほど掛け過ぎて本気で怒った島さえ笑ってちゃかせたのは先輩とゆうアドバンテージ。
しかし奴との縁も1年間、私は卒業し会うことは無かった。
バンドに加入してきたT、懐っこくてバンドの用事が無い時もアパートに来ては共に時間を過ごしてた。
最初は免許も車も無かったTが両方を得てから、私はTと動く時はいつも助手席に乗せられていたっというかTが運転楽しくて仕方なく、「自分が出す」ときかなかったから。
ある晩事件は起こる。
ライブも調子よく終わり、Tと帰る際赤信号手前でボルボのセダンにかぶせられた。
単に先頭に出たかった行為だが、Tは熱くなり信号が青に変わるとボルボを左から抜き信号で止まった。

ボルボの助手席から男が降りたのに気が付いたが、黙ってた私の方の窓を叩きつつ威勢のいい声。
値踏みじゃないが、560SELやジャガーでなく小さな240ボルボ、しかもディーゼル、良くてチンピラ程度だろうと、Tの手前先輩らしく応答を繰り返し、先の角を曲がった先に来いや!っと車を移動。
熱かったはずのTが少し緊張してたのは意外だったが、売ってしまったものは仕方ないので私も車を降りる。
前から助手席の男が降りこっちに向かいつつ
「島さ〜ん、こいつらです!」
って声に「ん?」っと感じ、降りて出てきたのはやはり島。
きついパーマして薄茶のグラサンは前より強そうに見えたが、後輩は後輩。
やつはすぐに私に気がつかないで、おめぇ〜とか叫んで凄んでる。
(恐怖の?)震えの止まった私は余裕があった。
ニコニコして、なぁなぁっと怒る島に手招き、すると島が気がついた
せんぱ〜い、何っすかぁ〜
その後4人は仲直りしてお茶をし、その後数年島が遊びに寄ってくれた。
しかし可笑しかった、怒ったあいつが私に気が付いた時のばつの悪そうなあの顔。
武勇伝じゃないですよ、永遠の0を読んだせいで思い出しただけの事。
内容はちっとも似てないけど、ただ可愛い後輩がいて、奴はどーしてるかなってね。